がん探知犬

Colorectal cancer screening with odour material by canine scent detection

九州大学の論文です2010年12月でGUTという英国の雑誌です。カナダに本拠地のある千葉セントシュガーという犬舎でがん探知犬を養成してその結果です。大腸がん患者とそうでないのをまぜて、呼気と便で感度(絶対ガンだと言い切れる確率)97%、特異度(絶対ガンでないと言い切れる確率)99%という驚異的成績でした。揮発性有機化合物(VOC)かぎ分けるとのことです。特殊な血統の犬家系で、大切に種を残す必要あります。

Key considerations for the experimental training and evaluation of cancer odour detection dogs: lessons learnt from a double-blind, controlled trial of prostate cancer detection BMC Urology 2014,英国泌尿器学会は尿サンプル嗅ぎわけです。一般の犬をリクルートして養成して、前立腺癌探知能力を確かめたようです。一般の犬なので成績は良くないですが、感度20%前後、特異度70%としていました。その他、肺がんや卵巣がんでも研究されています。

頑張っている犬には悪いですが、定性的結果で大事なのは、陽性だという答えと、陰性ですという答えです。陽性ならワンワン、陰性ならお手とか訓練しないと、陽性でなかったら反応しないということでは、患者さんへの実用はだめだと思います。陽性サインと、陰性サインぐらい賢いワンちゃんならできそうです。線虫の嗜好性を利用したがん予知も同じ危険があります(A Highly Accurate Inclusive Cancer Screening Test Using Caenorhabditis elegans Scent Detection プロスワン2015年3-月)。線虫にかぎって嘘はつかないと思いますが、いいえちがいますとは言ってくれません。

感度、特異度の数字があいまいになると困るのは人間です。産業医検診で職場に、がん探知犬が突然巡回してきて、ぐるぐるクンクンしたあげく、大勢の中で自分だけにワンワンされたらどうしますか。“あなたどこかガンです”などとされると、翌日から心配で、全身CT,胃と腸の内視鏡、PET検査などしまくるようになります。逆に、ワンワンなかったから大丈夫だと、余裕でいて、がん検診をスルーしていて、立派な腫瘍が看過されたりします。間抜けな腫瘍マーカーのような存在にワンちゃんをしないでください。

ですから、ワンワンとお手の両方を仕込んであげましょう。