お腹のすいた白熊

High-energy, high-fat lifestyle challenges an arctic apex predator, the polar bear

Science 2月2日号

最強プレデターの白熊が、食餌用アザラシ狩りのため、遠くまで泳いだり走ったりして疲弊しているようです。GPS付の9頭のクマさんからのデータだけでいえることは、いっぱい運動してやせてきたということです。原因は最高峰学術誌なので、温暖化のことは触れずに氷の変化と控えめでした。白クマさんは、もともとじっとしていても極寒ゆえに他種のクマさんより多めのカロリーを要します。氷上生活が主で歩行が一日の熱量消費の30%、あとはのんびり横になって、ほとんど泳がずに生活していたようです。待っていたらのこのこ、若者や子供のアザラシが迷い込んできて、容易に冬眠(冬眠しない説もありますが)やお産のために食いだめできていたようです。しかし、氷結が融解して氷山が点々としてなのか、アザラシにも事情ができたのか、クマさんたちはより遠方まで移動している様子が、GPS追跡でわかりました。呼吸監視装置もついていて、一時捕獲してデータをみると運動量が増えているようです。短期間の観察で体重がみるみる減っているクマさんもいるようです。動けば腹が減る、狩りの頻度も多くなる、また腹が減るという悪循環です。空き腹をかかえて厳冬をむかえているし、妊婦かもしれないメスのクマさんまで、泳いで狩りをしたりして無理をしているということを科学的に証明していました。

エビデンスに基づく医療が全盛です。臨床医学論文としては、何万人の集団を比較したり、数百の論文を分析して、少数しか発生しない有害事象等を統計的に処理して、この治療は良いとか悪いとか決めていくのも大事です。しかしながら、上記論文のように、9頭のクマの首輪ながらも、命がけで分析するのも大事な科学です。自分には、動物一般、遺伝、遺伝子、腫瘍の生物学など大学生はおろか高校生にも及ばない知識しかないため、専門外の論文を読むことが難しいのに気づきました。基礎的領域をもう一度すこしずつ勉強しなおして、臨床医として大事なところを時折ですが書き留めてみたいです。